日本に対し好感をもつ台湾の人々は、大変熱心に作業に当たっていただき、良いものができました。
築庭当時(100年前)にもどす改修工事。小さな修繕を行った部分を、綺麗に回復させ、白河砂敷き枯山水の日本庭園の格式を取り戻しました。
特に庫裡と庭園の間にある犬走りと雨落の部分にこだわりました。日本庭園の様式に従い、四半敷きを行いました。
雨落溝の縁石は、御影蔓石縁石を使い、渡しにはかち割り錆び石を敷き込みました。
主庭を引き立たせる犬走りと雨落ちは、羽織と袴に合わせ下駄を用意するように、バランスの取れた様式が大切です。また主庭起点に四方佛手水鉢を据え「輪廻転生」を表している。
長野駅前の横断陸橋の手すりに、パイプによる緑化を行いました。培養液が循環し、植えられた花はいつまでも元気に育っています。
植物は太陽の光を浴びて光合成を行い、根から養分を吸い上げます。それと同時に、太陽光パネルにも光が当たり電気が生まれます。その電気で培養液を循環させるポンプが動き始めるという仕組みを作りました。自然にできるだけダメージを与えない、環境緑化の一つの成功例です。
環境緑化に適さない今の公園管理
今の公園は、防災仕様になっています。ベンチはかまどになり、地下には飲料用の水が蓄えられています。そしてこの水は定期的に地下からポンプアップされ、公園の植物に散布されます。しかし公園の植物はよほどの干ばつで無い限り、水の散布は必要ありません。しかも飲料水のため塩素を含んだ水は、植物だけではなくその森に住む生態系に大変なダメージを与えます。
CO2削減の点からもエネルギーの無駄使い。
地下タンクの400立米の水道水を作るためには、エネルギーが必要です。そのエネルギーを作るためには、石油が必要です。400立米分の水道水を作るためには、石油を燃焼させ232gのCO2を排出します。これは森の木が16本伐採され燃やされたのと同じ量です。同じように地下タンクの水を汲み上げてまくための電力は、400KWh。これを作るために排出されるCO2は147g。森の木が10本燃やされたと同じです。植物は、自然の雨水で十分育ちます。
薬漬けが自然のバランスを崩す
いつまでも続く松食い虫防除。枯れた松を伐採し防虫剤を散布してビニールで覆う松食い虫対策。殺虫剤ではなく、松食い虫を媒介するマダラカミキリの天敵「ポーペリア菌」でマダラカミキリを駆除する方法は、森にまく殺虫剤よりも遙かに生物多様性に貢献するものではないでしょうか。
自然を制するよりも、自然のバランスを回復させ、人間が共存しやすい環境が大切です。これは、古来日本人が自然の中で生きるために守ってきたルールなのです。